
『人は死なない』
そんなセリフから始まる映画がある。
そう断言した一人の男と『死なない家』に住んだ人々のドキュメンタリー映画。
自分は荒川修作+マドリン・ギンズの事は以前から知っていた。
いや、知った気になっていたというのもおこがましい程で、
今、言い直すと何も知らなかった。今でもまだよくわからないし彼らを知ろうとすることさえ間違っているのかもしれない。
この映画の中には、彼らの語りの他、
『三鷹 天命反転住宅』 東京都
『奈義町現代美術館』 岡山県
『養老天命反転地』 岐阜県
などの建築物。
他にも『棺桶』シリーズなどのアート作品・インスタレーションなどが数多く存在する。
まだ全部を観きれたわけでは無い為2部構成でまとめようと思う。今回はなるだけさらりと。
最初に意外だったのは、芸術家は科学者であるという冒頭にでてくるセリフだった。芸術家って、思想的であり感覚的、超越的であり精神性の強い、いわば科学とはかけ離れた感覚的な分野と思っていたからだ。
実際の作品は奈義町現代美術館しか見ていないが、映画を見ていくうちにその意味を垣間見る事ができた。
それは空間構成や色彩などを用いて、五感をフルに使う体験や、あらゆる部分に刺激を与えるという事を計画的に行っていることだった。三鷹の住宅や養老天命反転地などでは、『使用法』というものが存在する。専門学校の図書室に天命反転地の使用法の本があったのを覚えている。
そうすることで荒川修作はこう言っている。
『気配を構成しなおす』 何によって?
『雰囲気』 何によって?
『環境』 何によって?
『有機体』 という結論に繋がっている。
ん~難しい。
こんな話もあった。
住宅を設計するに当たり、荒川修作は100%のモノを作るため自ら土地を探す。何かを建てる時は近隣住民というのは必ず一人は反対する者がいるらしいがこの時は一人も反対者がいなかったことにすごく興奮して『これは素晴らしいことだ!素晴らしいビッグニュースだ!!』と子供のように喜んだらしい。
これは確認申請が通った時も同じように喜んだらしい。建築そのものだけでなく現場の職人さんや経験者の声にも敬意を払い、本当に人柄の良い方だったそうで何故かすごく微笑ましい気分になった。
自分はこんなにも感情で言葉を話す人を知らない。言語にならないことを説明しているかのようで、見る人には言葉足らずに聞こえるようにも思うそうだがなんかすごく惹かれるものがあった。作品ではなく荒川修作に惹かれている人がいるのもわかる気がするがその人から生まれるモノから生まれるコトをもっと体験したいという思いが溢れるようだ。
冒頭で人は死なないと言いながらも『死なない子供』というタイトルはなぜかと考えた。
それは作品を観ていると自然とわかってくるような気がした。
死なない子供。
子供は死なない。
子供で在り続けること。
肉体ではなく。
心で子供で在り続けること。
だから人は死ぬのではなく
消えるのだ。
荒川修作の言葉 行動 気配 オーラ
画面から読み取れる微小な部分だけでもそんな事を思うに至った。
2部はまた違った視点で書ければ良いと思う。
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